
幸せとは何なのか。何だろう?!
どうやら俺の人生には、今後何一つ良いことがないらしい。
寿命の”査定価格”が一年につき1万円ぽっちだったのは、そのせいだ。
未来を悲観して寿命の大半を売り払った俺は、僅かな余生で幸せをつかもうと躍起になるが、何をやっても裏目に出る。
空回りし続ける俺を醒めた目で見つめる、「監視員」のミヤギ。
彼女のために生きることこそが一番の幸せなのだと気付く頃には、俺の寿命は二か月を切っていた。※引用:KADOKAWA
まずこの作品のファンですが、その前に作者の三秋縋先生の大ファンです。
たぶん全作読んでるはず!三秋先生の作品は総じて悲しく暗いストーリーが多いのです。

でもだからこそ、他人から見たら不幸に思えるかもしれないけど、小さくても”ぽっ”と灯るような幸せ・優しさに胸を打たれます。
さて、本作の感想ですが、
主人公の一年の価値は一万円、、、悲しすぎますよね。
何一つ良いことのない散々たる人生の主人公が監視員ミヤギと出逢い、少しづつ変わっていきます。
ミヤギとのかけかい、主人公の変化が一番の魅力。このミヤギも悲しい人生を過ごしているんですよね。

読んでいると私の”普通な”人生は、幸せに満ち溢れたものだったんだと気付かされます。
ミヤギが可愛くて最高です。懸命な仕事姿も健気で、垣間見える個人としてのミヤギの笑顔や優しさに、ついニヤッとしてしまいます。
主人公はこれまで他人には関わらず過ごしていましたが、最後はミヤギのために生きる。本当に美しい。
あなたは、残りの寿命を売ることが出来るとしたらどうしますか?
絶対に売らない?それとも値段によっては10年くらい売る?人生の価値を数字にするってかなり怖いですよね。私なら値段さえ知りたくないです、、、

”本を読んでも、全く身にならない”という主人公の発言に対して、ミヤギのセリフです。
「たとえ身にならないように見えても、すぐに忘れるように見えても、一度読んだものは絶対に脳のどこかに残っていて、本人も気付かないところで役に立っているものだと私は思っているんですけど」
小説好きとしては嬉しいセリフにゃ。読んでもすぐ忘れるから、また同じ小説を買ってしまったことが多々あるにゃ。
三秋縋さんの作品で2冊目になりますが、やっぱり僕はこの人の作品が好きだなぁって思いました。
読書メーター しょじ
友人の推薦本。将来に絶望した20歳のクスノキは「寿命を買い取ってくれる店」の噂を聞き、その店を訪れる。査定の結果、彼の寿命は、1万円×30年=30万円。この金額をあなたはどう思う?数億円と思っていた彼は落胆するが、寿命を売る。残り3ケ月と3日、寿命を査定した若い女性・ミヤギが監視員となる二人の生活が始まる。奇抜な設定だが、面白い。ミヤギの姿は他人には見えない。ミヤギの秘密、秘められた過去。ツンデレのミヤギがクスノキに惹かれていく過程がいい。驚きの展開の終幕は?答えあわせといこう。最終章題「賢者の贈物」だ。
読書メーター エドワード
是非、ご一読ください。
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